ぴよぴよスイマーの日記

Kakitai koto wo Tsura-tsura to. 書くのは好き。読むのも好き。そんな日記

鹿児島マラソン2019 あとがき

スタートの号砲前に桜島がモクモクと噴煙をあげていました。

地元の方と思しき女性ランナーが「あぁ噴いたネ」と、いつものことのような感じでおっしゃっておりました。

山頂は風が吹いてないのかまっすぐに伸びる噴煙は、まるでこれから始まる長い道のりを走る私たちにエールを送ってくれてるかのようでした。

 

何から書いていいかチョイスに迷うところなのですが、

2019年の鹿児島マラソンはこんな始まり方をしました。

強く感じたことをつらつらと書いていこうと思います。

 

前日の雨100%の予報は幸運にも雨が止み、後半は追い風となる曇り空。

気温もランにはちょうど良い肌寒さで絶好のコンディションでした。

 

25km折り返しで見かけたピアノとバイオリンの演奏に心うたれました。

なんでだろう。

メロディラインはクラシカルな感じでいつもは聞き流すはずなのに。

急に息ができなくなって、なんとか息をしなくちゃと、呼吸を整えることに必死でした。

ある意味、嬉しい出来事でした。

 

それは再びやってくるのですが、

30km - 35km地点くらいで流されていた音楽も同じような状態になりました。

「Hero」 だったような記憶もあるんですが「何度でも」だったような気もします。

二度目の呼吸が出来ない苦しさと喜び。(ああ、なんてこったいって感じです)

 

高校生のボランティア。中学生もいるのかな。

彼らの爽やかな笑顔とまっすぐな声援。

名前を呼んでくれて気持ちの伝わる感じがとっても嬉しい。

親と子以上に歳が離れているのに走っていてこんなに楽しいことはそうそうない。

 

ゴール後のおもてなし。

飲み物や食べ物以上に嬉しいのは更衣場所までの導線でボランティアの方々が拍手で迎えてくれたこと。

お疲れ様の声とともに鳴り止まない拍手の嵐。

これが「おもてなし」だなと気持ちの震えがしばらく止まりませんでした。

 

鹿児島マラソンは、心動かされるマラソンだと思います。

来年も当選なりますように。

宝島 Hero's Island

直木賞受賞という単純な動機で手に取った訳ですが、とても濃密な内容で沖縄(ウチナンチュ)の想いがひしひしと伝わる感じがしました。琉球の人と書いた方がいいのかもしれない。

文字や言葉がこんなに力のあるものだとはなんとなくわかってはいたけれど、筆圧というか筆力に圧倒されました。

 

戦後から沖縄返還までを辿った史実に基づいたフィクションのようです。

が、実話なのでは?と錯覚してしまいます。

うら若き戦果アギヤー、それでいて住む人々を活き活きとさせる彼ら。

アメリカーが来るまでは平和でのんびりとした毎日を過ごしてたはず。

 

戦争のこと触れていません。ただ背後にあるものは戦争です。

どうして戦争が起こるのかも私にはわかりません。

それさえなければ穏やかな日々が在るはずだったのに、と思えてなりません。

 

偶然だとおもいます。

数日前に行われた沖縄県民投票の結果は偶然だったのでしょう。

沖縄県民の出した答えの経緯はこの本から見て取れるようです。

 

沖縄からみると本土に住む私は、どこか遠い地の出来事だと思っていました。

米軍基地の事や軍用機墜落、米軍の事件、ニュースでは語られない(メディアが語りたくない?)多くの事が事実を軸にしてフィクションとして書かれてあります。

本土(ヤマトゥ)が沖縄の事をこれっぽっちも思ってない事もわかります。

同じく私もそうであった…のです。ごめんなさい。

 

書物に感化されたわけでもないと思うんだけれどもこういうの書くのってイクナイんでしょ。

Facebookなんて特に。だからポストしたものを削除しここに書き写している。

誰も書かないしね。それがヤマトゥの民、本質がそこに見え隠れしてなりません。

結局は私も本土と同じことをしてるんだなと。

 

誰かが動かないと誰も動かないし。

そうでもしないと何も変わることのない井の中の蛙にしかならない気もします。

少しだけ何か良くしたいと思って残したかった。

 

蛇足になりますが、最後に感想を。

 

文字を追うごとに風景がぱっと現れるような臨場感、躍動感。

実話でも作り話でもいい、言葉に出来ないほど良い書物に会えた事が嬉しい。

書店で何気に手を触れたのも紫ウタキのお告げだと思いたい。彼らの住む “宝島”へ行ってみたい。そして海の彼方に佇むニライカナイを潮の香りが漂う朝焼けの中で時間を忘れるほど眺めていたい。

沖縄の奥底にあ流れる血脈に触れた気分。アメリカーでもヤマトゥでもない唯一つのウチナンチュの琴線に。

 

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